ごきげんよう、ゆえのです。
読んで頂いてありがとうございます。
Twitterでちょこっと予告しましたが、2023/03/21に配信された米津さんの新曲「LADY」の歌詞解釈と考察を書いていきます。
まだMVはないので、公式のショート動画を貼っておきます。
いやー実はこの曲の解釈と考察を書くか迷ったんですよね…。他の方々の感想などを見てみると、甘々ラブソングだという受け止め方が大半で(まあ音楽的にも軽やかだしな)所々で失恋系?という受け止め方をされている方もいらして、私もそっちなんですけど、それを確信した歌詞の一ヶ所が余りにも生々しくて…これは書いてしまっていいのだろうか?ということをすごい悩みました。
でもそれをも突破できる点を見つけたので、書いていくことにします。
今回は二つのパターンというかニ種類の解釈ができるなと思いました。いつもならこれとこれですみたいな結論から先に書くのですが、ネタバレになるので今回はやめて順番?でこのパターンとこのパターンがありますというように書いていきます。
解釈と考察を書く前に、前提として二つのことを書いておきたいと思います。
一つは、「子供みたいに恋がしたい」「あの頃みたいに恋がしたい」の部分の、この楽曲における「恋がしたい」の言葉の定義です。
こちらの動画を参考にさせて頂きました。ありがとうございますm(_ _)m
【米津玄師 春雷】作品から分かる「恋」と「愛」の違いとは?歌詞の意味を解釈・考察してみた【『BOOTLEG』収録曲】【Syunrai】 - YouTube
抜き書きーーーーーー
「恋ふ」=人に対して物を与えてくれるように求めたり、何かをしてくれるよう願う意味の「乞う」と同義*引用「語源由来辞典」
かなし・い【悲しい/哀しい/愛しい】
古くは、いとしい、かわいいなど心の動くさまに広く使われた
*****
「恋」=「@@してください」
「愛」=「@@してあげたい」
ーーーーーーここまで
「恋」と「愛」の違いということで、分かりやすく説明がなされていたのでそこを抜き書きさせて頂きました。そして「子供みたいに恋がしたい」「あの頃みたいに恋がしたい」という歌詞は、相手に対して何か求めたり願うことがあるのだけど今はそれが「できない」状態にある、という風に定義します。できないからこそ「恋がしたい」ということなのかと。
もう一つは、米津さんの去年のライブツアー「変身」で登場したオリジナルキャラクター「NIGI Chan」についてです。当初は謎だったので色んな考察がなされていて「NIGI Chan」の【NIGI】とは
「ニ儀」天と地 陰と陽 両儀
「ニ義」二つの意味、二つめの意味
ではないかというものもあって、私は言い得て妙だなと面白いなと思って見ていました。そして年末くらいに「NIGI Chan」は深海魚のデメニギスから来ていると米津さんからいわば公式発表があって、上記のことが否定されたというか捨てられた?ような形になったと私は感じたんですけど…米津さんが言ったのはビジュアル的なことだけではないかと思ったので、別にそういう意味があるのでは?ということまで捨てなくてもいいんじゃない?と思ったんですよね。
前作の「KICK BACK」がアニメ「チェンソーマン」の主題歌になったこともあって、解釈の悪魔とか音楽の悪魔とか米津さんが呼ばれるようになっていますが、私的には“ニ儀(ニ義)の悪魔”って言えるんじゃないかなと密かに思ってて、この「LADY」という楽曲はまさにその本領発揮!といえるような楽曲になっていると感じました。
この二つを前提として歌詞の解釈と考察をしていきます。
歌詞、抜き書きーーーーーー
引用Source: https://www.lyrical-nonsense.com/lyrics/kenshi-yonezu/lady/
LADY
例えば僕ら二人 煌めく映画のように
出会いなおせたらどうしたい
何も謎めいてない 今日は昨日の続き
日々は続くただぼんやり
ーーーーーー
Aメロの最初の二行を読む限り、「二人」は長らく付き合っているまたは同棲・結婚して長いという二人なのかと思いました。そして今は「最初からやり直せたらなぁ」という心持ちになっているのかなと考えました。でも現実は映画のようにはいかず、二人の日々は続いているということが分かります。
ーーーーーー
微かな足音 シーツの置く場所
それだけで全てわかってしまうよ
ーーーーーー
ぶっちゃけ言うと…書くのすごい迷ったという生々しく感じた箇所はズバリここなんですけど。
「シーツの置く場所」って?「それだけで全てわかる」事態ってどーゆーこと?って考えて…後の歌詞で「今すぐ行方をくらまそう」で部分で私はここは二人で、というふうに捉えたんですけど…(二人だけの世界に行きたいっていう意味で)つまり二人の間には第三者がいるかもしれないということ?って思ったんですよね。
「行方をくらまそう」と歌っているのは主人公である「僕」なので、お相手である(おそらく表題にある)「LADY」が浮気をしている可能性があるということなのかと考えました。
そして「シーツの置く場所ですべてがわかる」事態とは?何かというと…私的には「LADY」がその浮気相手を家に招いているのでは、ということしか思い付かなかったんですよね…。
一応書くと、シーツの置く場所ってのは洗濯して干して畳んで仕舞う収納場所のことだと想定しています。
ホント生々しくてすみませんなんですけども、更に書くと…「シーツの置く場所ですべてわかる」っていうのは、シーツの置く場所を「変えた」か「増やした」かのどちらかではないかと思いました。「変えた」はまだいいんですけど「増やした」はかなり怪しいなと思いました。
ホント生々しくてごめん、なんですけど…流石に同じ場所には仕舞えないのではないか?と…考えたんですよねー。知らんけど。
ーーーーーー
見え透いた嘘も隠した本当も
その全て愛おしかった
ーーーーーー
ということです。はい。
ーーーーーー
レディー 笑わないで聞いて
ハニー 見つめ合っていたくて
君と二人 行ったり来たりしたいだけ
ベイビー 子供みたいに恋がしたい
書き散らしていく僕らのストーリーライン
ーーーーーー
「書き散らしていく」というのは「まとまりがつかない」ということではないかと考えました。
ーーーーーー
例えばどっちか一人 ひどい不幸が襲い
二度と会えなくなったら
考えた矢先に 泣けてしまうくらい
日々は続く一層確かに
ーーーーーー
主人公である「僕」は「LADY」のことを失いたくないというように思っていて、LADYが浮気して自分のことを酷く裏切っていても、二人でいられる日々を続ける覚悟?があるということが分かります。
ーーーーーー
いつもの暗い顔 チープな戯言
見過ごすようにまた優しいんだろう
ーーーーーー
ここは迷ったんですけど、二行目で「また優しいんだろう」と僕が言っているということは「優しい」のはLADYであることを想定しました。そうすると一行目で「いつもの暗い顔 チープな戯言」を言ったりしたりしているのは「僕」であると考えました。
ーーーーーー
見え透いた嘘も隠した本当も
その目から伝わってきた
ーーーーーー
そうすると、1番の「見え透いた嘘も隠した本当も」はLADYがしていましたが、2番は「僕」がしているのではないかと考えました。
つまり、Bメロのどの行の歌詞がどっちの行動や感情、状態を指しているのかが、1番と2番で逆になっているということです。
Bメロの歌詞の抜き出しーーーーーー
1、
LADYー微かな足音 シーツの置く場所
僕ーーそれだけで全てわかってしまうよ
LADYー見え透いた嘘も隠した本当も
僕ーーその全て愛おしかった
*****
2、
僕ーーいつもの暗い顔 チープな戯言
LADYー見過ごすようにまた優しいんだろう
僕ーー見え透いた嘘も隠した本当も
LADYーその目から伝わってきた
ーーーーーーここまで
そして「その目から」の持ち主はLADYの方で、「伝わってきた」のは僕がLADYの浮気に気づいていることをLADYは知っている、という解釈になります。
なのに、「僕」が問い詰めたり怒ったり暴いたりしてこない。だからLADYは浮気相手を家に招いたりすることができるのでは、と考えました。
かなり胸糞悪い事態になっているんですけども、ちょーっと我慢して先を読み進めて頂けたらありがたいです。
ーーーーーー
引っ張ったり噛み付いたり 傷ついたふりしてみたり
明日の朝に持ち越したり 浮ついたりして
ーーーーーー
この歌詞からエフェクトがかけられて声が遠くで鳴っているように聴こえるのですが、少し過去に遡った表現かなと考えました。今はこんな喧嘩や仲直り等もできなくなってしまっている、みたいな感じなのかなと受け取りました。
ーーーーーー
思いきり傷つきたい いつまでもそばにいたい
今すぐ行方をくらまそう
ーーーーーー
「思いきり傷つきたい」というのはLADYの浮気を暴いて何もかもダメにしてしまいたいという気持ちと、「いつまでもそばにいたい」はそんなことをしたら自分の側からLADYは離れてしまうことを恐れてのことなのかなと考えました。
だから(二人だけの世界に行きたい)ということでこの歌詞なのかとも思いました。
ーーーーーー
レディー 何も言わないで
ハニー 僕の手を取ってくれ
君以外に 考えられないだけ
ベイビー あの頃みたいに恋がしたい
書き散らしていく 踊り続ける
レディー 笑わないで聞いて
ハニー 見つめ合っていたくて
君と二人 行ったり来たりしたいだけ
ベイビー 子供みたいに恋がしたい
書き散らしていく僕らのストーリーライン
ーーーーーーここまで
とここまでが最初に二つのパターン、二つの解釈ができると書いたうちの一つ目です。
そして、二つ目のパターンは、一つ目に書いた解釈と考察の示しているものが
すべて「僕」による“空想”である、というものです。
つまり、LADYが浮気している家に連れ込んでいる、という事態は「僕」の“想像上のもの”であるということです。
論拠を書きます。
一つ目は、何でシーツの置き場所なんて知ってるんだよ、ということです。
またもや生々しい話で大変申し訳ないんですけども、そもそもシーツの置き場所を知っているということは(想定としてはベッドなんですが)日常的にベッドメイキング等をしているからでは?と考えました。そうでなければ用はないはずだからです。ましてやその位置が変わったなどと何でわかるんだ?という話になります。
そして、ベッドメイキングをしたのならそのベッドで寝るのは当然ですよね、自分の家なんだし。シングルベッドが二つなのでは?とも思ったんですけど、歌われている「僕」の気持ちの熱量からして…それは考えにくいなと思いました。二人並んで寝られるようにダブルベッドとかだろう、と。
そしてもし本当にLADYが浮気でそんなことしてたら…流石にそこで寝たくはないんじゃないかな?って思うんですよね。(熱量で乗り越える?のかもしれないけど)ソファ等で寝るのならシーツがどこにあるかなんてのは知る由もないことだと考えました。
ソファで寝るにしてもシーツの置き場所くらい把握してるだろということもできますがそこまで行くと際限がなくなってくるので一応ここまでで。
二つ目は、LADYが悪者すぎるということ。
2番の歌詞は、
(僕の)見え透いた嘘も隠した(浮気に気づいているという)本当も
(彼女の)その目から(すべてバレていることが)伝わってきた
と言う風に解釈しましたが、実質的には「僕」の主観でしかないとも言えるんですよね。疑うように見るならそういう風にしか見えなくなるでしょうし。
浮気をしているという根拠が「微かな足音 シーツの置く場所」しか示されていないというのも私は「変えた」と「増やした」で若干違うのでは、と書きましたけど、そこまで詳細に描かれている訳ではないので、単に変えただけでは?とも言えますしね。「微かな足音」も僕が寝ている時に仕舞っているのではと考えると、起こさないようにという配慮と見ることもできるし。
それに…酷い言い方をするなら、そこまでの悪い状況になっていてもLADYを愛していると思える自分に酔いしれている、という見方もできなくはないし。
「思い切り傷つきたい」という歌詞も、本当にそこまでの状況になっているのならもう既に十分傷ついているはずです。そうではないからこその言葉ではないか?と。
三つ目は、この楽曲がコーヒーのCMソングであるということ。
実質そんな裏がある歌詞は重すぎるしNGだろうと考えました。“空想”であるならかろうじて「ほろ苦い」コーヒーに例えているということもできると思いますし。
米津さんのコメントの「平坦な生活からほんの少しだけフケられたらいいなという気持ちを音楽にしました。」ということで、ある意味刺激的な“空想”であるということが言えるのではと思いました。
四つ目は、4月から行われる米津さんのライブツアーの名前が“空想”であること。
直前の3月21日にリリースされたこの楽曲が、その名に何の関係も持たないということはあり得ないだろうと考えました。
そもそも「ストーリーライン」とは、小説やシナリオでのストーリー展開や起承転結などの筋の流れを表す単語で、それを「書き散らしていく」というのは、赴くままに“空想”しているだけとも言えるのではないかと思いました。それが音楽的な軽やかさで表現されていると言えるのかも?
以上です。MVが公開されたらまた見方が変わるかもしれないですけど、今はこんな感じの解釈と考察になりました。
終わり。