前々回のミラーニューロンの話では、悪い面というかあまり良くない面ばかりに注目してしまった感があった気がするので、また別の面から見るということで、もう一つミラーニューロンの話です。
スピ某所で教えてもらった文章や本などを差し障りのない範囲で紹介しています。
2012年7月にMLに投稿された、松岡正剛の千夜千冊からの抜き書きです。
と、それに添えられていた言葉も載せておきます。
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「百聞は一見に如かず化」の秘密の一端を握るのが「ミラーニューロン」。
しかもそのコアは物質としては存在しない「意識世界のミラーニューロン」なのです。
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トップアスリートが、自己記録を0.01秒アップデートする能力の源は何だろうか。
それは、ふだんのトレーニングでさんざん自己をトレースしているから出来ること。トレースは、ふだん悩み苦しみ、呻き、考え抜いている状態だ。
それがあるからトレースを完全放棄する瞬間が持てる。それこそが、トレースの完全放棄を「決めてキメる」ことが出来た瞬間だ。
そしてアップデートは成る。顕現する。
トレースしたものを捨て去ってしまえるには、普段さんざんトレースしておかなければ出来ないのだ。
自明なことですが、トレースしている以上自己記録のアップデートはない。いくら練習したからといってそれはない。
つまり、ミラーニューロンは自己や他者を模倣するニューロンだが、自己や他者の「記録」を模倣するニューロンとしてではなく、松岡正剛流に云えば、自己や他者の「意図」を模倣するニューロンとして使ったときにはじめて「創造性」へと繋がっていく。
それは突き抜けることにつながる重要なヒントなのだ。
捨て去り続けることに重々留意されたし > All
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1469夜『ミラーニューロン』ジャコモ・リゾラッティ&コラド・シニガリア|松岡正剛の千夜千冊
抜き書きーーーー
演出家のピーター・ブルックがパルマ大学神経科学研究室
での「ミラーニューロン発見」のニュースを聞いたあと、
次のように言ったという。「これで神経科学者たちも、演
劇ではずっと常識だったことをやっと理解するようになる
だろうね」。
たしかにミラーニューロンの発見は、われわれの体の動き
にひそむ「模倣力」とでもいうべきパフォーミング・アー
ツの秘密の一端を、ある日突然に神経生理学が引き出した
ようなものだった。
いっぱしの役者やダンサーや音楽家などのパフォーマーた
ちにとっては、ミラーニューロン的なものたちはもともと
体中で動きまわっていると感じてきたはずだ。手先にも耳
にも肌にもその実感があるだろう。
そもそも「仕草の芸能」というもの、その根底から世阿弥
の「物学(ものもね)」が動いてきて、そこには、さかの
ぼれば古代ギリシア以来の「アナロギア(類推)・ミメー
シス(模倣)・パロディア(諧謔)」が七人の小人よろし
くこぞって躍如していたのだから、これは言うまでもなく
当然のことだった。
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それともう一つ、同年の10月に紹介されていた本も載せておきます。
MLで投稿された時に添えられていた言葉はこちらです。
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ミラーニューロンシステムはなぜつくられたのか。
ニーチェが「諸人にとって最も遠い存在は自己である」と引用したように、世界で最も理解しがたいものは自己である。
ミラーニューロンシステムは、他者が自己を写し取り、その自己を写し取った他者を見ることによって自己を認識する。そのためにつくられたシステムであって、他者を写し取ることに第一義的意味があるのではない。
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ミラーニューロンの発見―「物まね細胞」が明かす驚きの脳科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) | マルコ イアコボーニ, Marco Iacoboni, 塩原 通緒 |本 | 通販 | Amazon
マルコ・イアコポ一二『ミラーニュー口ンの発見──「物
まね細胞」が明かす驚きの脳科学』より抜き書き
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第1章 サルの「猿真似」
ニューロンがすべてを決める?
いきなりだが、私たち人間はそもそも一日中なにをしているの
だろうか。突きつめて言えば、私たちは世界を読み解いてい
る。とくに自分が出くわした人間のことを、と言ってもいい。
大昔から、哲学者はなぜ人間どうしが互いを理解できるかにつ
いて頭をかきむしってきた。
その困惑はもっともだ。かつてはそうしたことを研究する科学
が基本的になかったのである。
この150年ほどは、心理学者や認知科学者や神経科学者がそれ
ぞれの専門分野から、そしてこの50年ほどはさらに多くの科学
分野で研究できるようになってきたが、それでも長いこと科学
者たちは頭をかきむしっていた。
他人のしていることや考えていることや感じていることを私た
ち人間はどうしてわかるのか、その仕組みは誰にも説明できな
かった。
いまでは、それが説明できる。
人間は脳にある特殊な細胞の集まりのおかげで、他人をきわめ
て微妙なところまで鋭敏に理解することができるのだ。それら
の細胞群を総称してミラーニューロンという。
この微小な奇跡によって、私たちは一日を切り抜けていける。
これがあるからこそ、迷わず日々を送っていける。これが私た
ち人間どうしを精神的、感情的に結びつけているのである。
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終わり。